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なぜトラウマケアでは「安心・安全の資源(リソース)」が一番大切なのか?

2026年8月25日

「カウンセリングを受けると、つらい過去を無理やり思い出させられるのではないか」
「トラウマに向き合うのが怖くて、一歩を踏み出せない」

このような不安から、相談への一歩を踏み出せない方は多いのです。

しかし、現代のトラウマケア(EMDRや身体アプローチなど)において、最初に行う最も重要なステップは、つらい過去を話すことではありません。まずは、心の中に「安心・安全の資源(リソース)」をしっかり作ることです。

なぜリソースがこれほど重要視されるのか、その理由と仕組みについてお話しします。

「リソース」とは何か?

トラウマケアで言う「リソース(資源)」とは、一言で言うと「あなたが安全や安心、落ち着きを取り戻すための手懸かり」のことです。

リソースは、特別なものである必要はありません。以下のように、あなたの周りや内側にすでに存在しているさまざまなものがリソースになり得ます。

外的なリソース: 信頼できる人、ペット、好きな部屋の場所、落ち着くカフェ、大切にしているお守りやぬいぐるみ。これらは、つらいときに実際に頼れる現実の存在です。

内的なリソース: 自分の強みや長所、過去に乗り越えられた記憶、ユーモアのセンス。心の中に蓄積された、あなた自身の力です。

身体的なリソース: ほっとする温かいお風呂の感覚、深く息が吐けたときの胸の緩み、心地よいツボ刺激。からだを通じて感じる安心です。

イメージのリソース: 安全で誰も邪魔してこない静かな海岸、守られている感覚がする空間。想像力を使ってアクセスできる心の拠り所です。

なぜ「リソース」が最優先なのか

トラウマを抱えているとき、私たちの自律神経は「常に危険が迫っている」という警戒モード(過覚醒や凍りつき)になっています。

この状態のまま、いきなり過去のつらい記憶や傷つき(トラウマ)に向き合おうとすると、脳の警報装置が暴走し、激しいパニックや強烈な再体験(フラッシュバック)に飲み込まれてしまいます。これは心にとって二次被害のようなものです。

つまり、トラウマという「嵐」に向き合う前に、まずは頑丈な「避難小屋(リソース)」を建てることが不可欠なのです。

心の中に「ここに戻ってくれば安全だ」と思える避難小屋(リソース)があって初めて、私たちは恐怖に飲み込まれることなく、安全な距離を保って過去の傷つきを整理できるようになります。

リソースは「育てる」もの

「正直なところ、自分には安心できるものなんて一つもないように思える」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。長年つらい環境にいた方ほど、安心の感覚を忘れてしまっているのは当然のことです。

ですが、心配いりません。リソースは「元々持っている人だけが使えるもの」ではなく、カウンセリングの中でゼロから一緒に見つけ、育てていくものだからです。

「これを思い浮かべると、ほんの少しだけ肩の力が抜けるな」
「この匂いを嗅ぐと、胸のつかえが和らぐな」

そうした小さな安心の感覚を一つずつ拾い上げ、からだに染み込ませていくこと(リソースの強化)自体が、すでに重要なトラウマケアの始まりなのです。

まとめ

過去の傷つきに向き合うのが怖いと感じている方こそ、まずはご自身の「安心の避難小屋」を一緒に作り上げることから始めてみませんか。