お知らせ
BCT(ボディ・コネクト・セラピー)が自律神経の乱れを整える仕組み
2025年12月4日
「急に動悸がする」「夜眠れない」「常に身体が緊張している感じがする」
病院で検査を受けても「異常なし」「自律神経の乱れ」と診断されたものの、根本的な改善が見られずにお悩みではありませんか?
このような自律神経の乱れや、過剰な身体反応の背景には、過去のトラウマ体験や慢性的なストレスが影響していることが少なくありません。
トラウマ治療専門のBondiaが提供するBCT(ボディ・コネクト・セラピー)は、まさに「こころとからだのつながり」に働きかけ、自律神経の乱れを根本から整えることを目的とした心理療法です。
この記事では、BCTがどのように自律神経に作用し、私たちを本来の穏やかな状態に戻すのかを専門的に解説します。
①なぜトラウマやストレスが自律神経を乱すのか?
自律神経は、私たちが意識しなくても心臓の動きや消化、呼吸などを調整している神経系です。
• 交感神経: 活動時やストレス時に働き、心拍数を上げ、身体を「闘うか、逃げるか(Fight or Flight)」の臨戦態勢にします。
• 副交感神経: リラックス時や休息時に働き、心拍数を下げ、身体を「休む・消化する」状態にします。
トラウマ体験をすると、脳と身体は生命を守るために極度の危険を察知し、この交感神経が「過剰に興奮した状態」で固定されてしまうことがあります。
身体に「凍り付いた」防御反応
極度の恐怖に直面し、逃げることも闘うこともできない状況(例:幼少期の虐待など)では、身体は「フリーズ(Freeze)」という防御反応を取ります。これは、死んだふりをして捕食者から逃れるための原始的な反応です。
トラウマが未処理のままだと、この「凍り付いた」緊張やエネルギーが身体に残り続け、いつまでも安全ではないと錯覚した状態になります。結果、自律神経が常に誤作動し、不安や動悸、慢性的な疲労となって現れるのです。
②BCT(ボディ・コネクト・セラピー)の基本的な仕組み
BCTは、トラウマによって身体に閉じ込められた「防御のためのエネルギー」を、安全な環境で解放し、自律神経のバランスを回復させることに特化したアプローチです。
「身体感覚」に意識を向けるアプローチ
BCTでは、会話だけでなく、ご自身の身体で今、何が起きているかに意識を向けます。
• 「今、お腹のあたりにどんな感覚がありますか?」
• 「肩の緊張は、どのくらいの強さで感じますか?」
• 「その感覚は、少し動かせそうですか?」
このように問いかけながら、安全を確保した環境で、わずかな身体感覚の変化や動き(微細な振動、温かさ、重さなど)を丁寧に感じていきます。
完了できなかった防御反応の「完了」をサポート
このプロセスを通じて、過去に「闘うことも逃げることもできなかった」ために身体に留まってしまった未完了の防御反応(例:震え、怒りのエネルギー)が、安全かつ小さな単位で動き始めます。
身体が震えたり、熱くなったり、涙が出たりと、さまざまな反応が現れることがありますが、これらは「エネルギーが解放され、神経系が緊張から解放されている証拠」です。
BCTは、この解放のプロセスをセラピストが共に経験し、自律神経が自ら調整機能を取り戻すのを優しくサポートします。
③BCTが自律神経の乱れを「整える」プロセス
BCTが自律神経のバランスを回復させるまでの主な変化は以下の通りです。
1.「危険な過覚醒」から「安全な覚醒」へ
常に危険を察知して過敏になっていた交感神経の働きが徐々に落ち着き、「いま、自分は安全な場所にいる」という情報を脳と身体が受け取れるようになります。これにより、不必要な動悸や不安が減っていきます。
2.「フリーズ状態」から「柔軟な反応」へ
極度の緊張で固まっていた身体が緩み始めます。感情や衝動を抑え込むエネルギーが解放されることで、状況に応じて「闘う」「逃げる」「休む」という柔軟な反応が取れるようになり、感情の起伏にも振り回されにくくなります。
3.身体の快適さと自己調整能力の向上
治療が進むにつれて、胃腸の調子が整う、睡眠の質が改善する、慢性的な痛みが和らぐなど、具体的な身体の快適さが増していきます。これは、自律神経が最適なバランスに戻ったことを示しています。また、自分で感情や身体の状態を調整する能力(自己調整能力)も高まります。
④BondiaでのBCTと統合的アプローチ
Bondiaでは、BCT(ボディ・コネクト・セラピー)を、トラウマ治療の基礎として非常に重要視しています。
なぜなら、身体が安心感を取り戻さなければ、EMDRなどの他の治療法の効果も十分に得られないからです。
私たちは、トラウマによる影響を「頭で理解すること」だけでなく、「身体レベルで解決すること」こそが、真の回復につながると考えています。
自律神経の乱れや、原因不明の身体症状に長く苦しんでいる方は、ぜひBondiaの専門的なBCTアプローチをお試しください。こころとからだの両方から「整える」サポートで、あなたの人生に穏やかさと安心感を取り戻します。
EMDRとは?効果的なメカニズムと治療のステップを専門家が解説
2025年12月2日
「過去の嫌な記憶がフラッシュバックしてつらい」
「特定の場面になると、動悸やパニックが起きてしまう」
「カウンセリングで何度も辛い話をしたが、苦しさが変わらない」
もしあなたがこのようなお悩みをお持ちなら、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)という心理療法が、解決の糸口になるかもしれません。
EMDRは、世界保健機関(WHO)もPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療法として推奨している、科学的に効果が認められたアプローチです。
この記事では、トラウマ治療を専門とするBondiaの臨床心理士が、EMDRの仕組みや具体的な治療の流れについて、分かりやすく解説します。
①EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)とは?
EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)は、1989年にアメリカのフランシーン・シャピロ博士によって開発された心理療法です。
最大の特徴は、トラウマとなる記憶を想起しながら、「眼球運動(目を左右に動かす)」や「両側性刺激(左右交互のタッピングや音)」を行うことです。これにより、脳の情報処理機能を活性化させ、トラウマによる苦痛を和らげていきます。
薬物療法に頼らず、人間が本来持っている「脳の自然治癒力」を引き出す方法として、世界中の医療現場やカウンセリングルームで導入されています。
②なぜ効果があるの?EMDRのメカニズム
「目を動かすだけで、なぜトラウマが癒えるの?」と不思議に思われるかもしれません。その仕組みは、脳の「情報処理システム」と深く関係しています。
トラウマは「冷凍保存」された記憶
通常、私たちが日常で経験した出来事は、脳内で整理され、「過去の思い出」として適切に保管されます。嫌なことがあっても、時間が経てば「あんなこともあったな」と思えるようになるのはこのためです。
しかし、命の危険を感じるような衝撃的な体験や、長期間にわたる虐待などのトラウマ体験をすると、脳の処理能力が追いつかなくなります。すると、その記憶は当時の恐怖や痛み、身体感覚を伴ったまま、脳内に「冷凍保存」されてしまいます。
これが、何かのきっかけで解凍され、当時の恐怖が昨日のことのように蘇る(フラッシュバック)原因です。
脳の処理機能を「再起動」させる
EMDRで行う眼球運動や両側性刺激は、睡眠中の「レム睡眠(夢を見ている時の眼球運動)」と同じような脳の状態を作り出すと考えられています。
この刺激を与えることで、冷凍保存されていた記憶の「再処理」が始まります。脳が活発に動き出し、トラウマ記憶が他の健康な記憶と結びつけられ「現在はもう安全である」「これは終わった過去の出来事だ」として消化されていくのです。
結果として、記憶自体が消えるわけではありませんが、思い出した時の激しい動悸や恐怖感、身体の緊張といった苦痛が大幅に軽減されます。
③実際の治療の流れ:8つのステップ
EMDRは、単に目を動かすだけではありません。安全かつ効果的に進めるために、以下の8段階の標準的プロトコル(手順)に沿って行われます。
1. 病歴聴取と治療計画
現在のお困りごとやこれまでの背景をお伺いし、治療のターゲットとなる記憶を特定します。
2. 準備(リソースの構築)
いきなりつらい記憶に向き合うことはしません。まずは、安心して治療に取り組めるよう、リラクゼーション法や、心が落ち着く「安全な場所」のイメージ作りを行います。ご自身で感情をコントロールできる状態を作ることが最優先です。
3. アセスメント
ターゲットとする記憶について、その時の「映像」「否定的な思い込み(私はダメだ、など)」「感情」「身体感覚」などを確認します。
4. 脱感作(再処理)
ここからがEMDRの中心的なワークです。記憶をイメージしながら、セラピストの誘導に合わせて眼球運動やタッピング(両側性刺激)を行います。脳内での情報処理が進み、苦痛度が下がるまで繰り返します。
5. インストール(植え込み)
苦痛が十分に下がったら、「私はダメだ」といった否定的な思い込みを、「私は最善を尽くした」「私は安全だ」といった肯定的な認識に書き換えていきます。
6. ボディ・スキャン
身体の感覚に注意を向け、緊張や違和感が残っていないかを確認し、完全にクリアになるよう処理します。
7. 終結
セッションを振り返り、心が落ち着いた状態で終了できるよう整えます。
8. 再評価
次回のセッション冒頭で、前回の治療効果が持続しているかを確認し、次のステップへ進みます。
④従来のカウンセリングとの違いとメリット
EMDRには、従来の「対話によるカウンセリング」と比較して、以下のようなメリットがあります。
• 詳細を話さなくて良い: つらい体験を細部まで言葉にして説明する必要がありません。そのため、話すことで傷つき直す「再トラウマ化」のリスクを抑えられます。
• 短期間での改善が期待できる: 脳の処理機能を直接刺激するため、比較的早い
段階で症状の変化を感じられるケースが多いです。
• 身体感覚も楽になる: こころだけでなく、トラウマに伴う「身体の強張り」や「神経の過敏さ」も同時に解放されやすくなります。
⑤Bondiaでのトラウマケアについて
Bondiaには、EMDRの正規トレーニングを修了した臨床心理士・公認心理師が在籍しています。
私たちは、単にEMDRの手順をなぞるだけではありません。
トラウマによる身体反応へのアプローチであるBCT(ボディ・コネクト・セラピー)や、自己調整力を高めるアプローチも統合し、お一人おひとりの「こころとからだ」の状態に合わせたオーダーメイドの治療を提供しています。
「私の悩みにもEMDRは効くのかな?」
「まずは話を聞いてほしい」
そう思われた方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたが安心して過去を乗り越え、自分らしい人生を取り戻すお手伝いをさせていただきます。
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